ゴースト ――あたしの中の、良からぬ……
「柚希……」


突然、腕の主が言った。


あれ。

今日はアヤちゃんじゃないんだ。

……て。


——え?

ええええええ?


その声は……


「かかか克己!」


目が慣れてきた暗がりで。

人なつっこい笑顔でにっこり微笑んでるのは、間違いなく克己だった。


うそでしょ……。


暗がりで、克己の手があたしの手を探りあてて、きゅっと握った。


「ありがと」


ありがと、って……。

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