ゴースト ――あたしの中の、良からぬ……
(知らない男の人よりはずっとましでしょ、だって)


30歳前後の男と、アーティスト風のロン毛の男の顔が脳裏に浮かんだ。

ほら、あんな人たちとは――


(あれ)


――ふと気づく。

そのときは動揺しすぎて気づかなかったけど、どちらの人も妙にステキな人だったような……


(いや、そんなことどうでもいいから)


思わず頭を振る。

それにしても、克己の前でハダカなのは落ち着かない。


「あたしの服、どこかな……?」

「まだいいじゃない。このままで」


克己はにっこり笑う。


(困ったな……)


克己の腕があたしの背中に回りかけた。

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