ゴースト ――あたしの中の、良からぬ……
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今日で、もう個人レッスンも7回め。
週2回だから、もうすぐ1ヶ月経つことになる。
少しずつ緊張も解けて、あたしもすっかり打ち解けてきて、逆に行くのが楽しみになってきていた。
黒川さんは相変わらず、恐ろしく紳士的で礼儀正しかったけど。
ファミレスの時のような儀礼的な印象はなりを潜めて、自然な笑顔が出るようになって。
あたしがぺちゃくちゃ話す部活のことや絵のことなどを、案外楽しそうに聞いてくれた。
「黒川さんて、油絵が専門なんですか?」
「専門っていうわけでもないよ」
「あの……あそこに飾ってある絵の画材って何かなって思って。
油絵じゃないし」
あたしは、夢見るような美しい繊細な絵を差す。
あたしの好きな作風。
「ああ、あれはリトグラフ」
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今日で、もう個人レッスンも7回め。
週2回だから、もうすぐ1ヶ月経つことになる。
少しずつ緊張も解けて、あたしもすっかり打ち解けてきて、逆に行くのが楽しみになってきていた。
黒川さんは相変わらず、恐ろしく紳士的で礼儀正しかったけど。
ファミレスの時のような儀礼的な印象はなりを潜めて、自然な笑顔が出るようになって。
あたしがぺちゃくちゃ話す部活のことや絵のことなどを、案外楽しそうに聞いてくれた。
「黒川さんて、油絵が専門なんですか?」
「専門っていうわけでもないよ」
「あの……あそこに飾ってある絵の画材って何かなって思って。
油絵じゃないし」
あたしは、夢見るような美しい繊細な絵を差す。
あたしの好きな作風。
「ああ、あれはリトグラフ」