ゴースト ――あたしの中の、良からぬ……
(やっぱり、いた――)
毎日この時間は公園に入り浸っているのか。
例の花粉症さんは今日も公園で過ごしてた。
あたしは密かに、この声なき交流を楽しみにしてた。
最初はギターがうるさいから公園で弾いてるのかと思ってたけど、そうでもないみたい。
ギターを弾いているのを見たのは最初の3回ほどだけで。
あとは、ベンチに寝転がって本を読んでいたり、ごついカメラで何やら写真を撮ってることもあった。
ただ仰向けに寝そべって足を組んで、長い足をプラプラさせてるだけのこともあったし。
どう見ても爆睡してることもあった。
ちょうどそのとき周りに野良猫がいっぱい集まっていて、何ごとか、なんて思ったっけ。
――このベンチはこの人の特等席。
(まさか、ここに住んでるんじゃないよね)
単に、この影絵の世界みたいに幻想的な夜の公園が好きなのかもしれない。