ゴースト ――あたしの中の、良からぬ……
「……え?」


(初めて声聞いた)


どこか楽しげな、ほがらかで澄んだ声。


「いつもクソつまらない絵ばかり描いてるなぁなんて思ってたけど、それはすごくいい」


(クソつまらない……!?)


明るい口調でいきなりそんなことを言われて、カチンと来た。


(何この人……いきなり、なんてこと言うんだろ)


そんな下手な、絵とも言えない絵を描いてる人に言われたくない。

絵のことなんて、どうせ何もわからないくせに。


内心いきどおるあたしを、花粉症さんはくるりと振り返った。

メガネの奥に見える薄い色の目は、意外にも澄んでキラキラ光ってた。


(あれ? なんてキレイな目……)


「なんか心境の変化でもあった?

別人の絵みたいに見える」

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