ゴースト ――あたしの中の、良からぬ……
「考えて考えて、絞り出した、てな絵になってる」

「……」

「もしくは、狙ってると言ってもいいかな」

「……………」


(何言ってるんだろ、この人)


もう、行こう。


「すみません、あたし急ぎますから」


軽く会釈して、あたしはその場を去ろうとした。

その背中へ、またのんびりとした声が掛けられる。


「今、何のために絵を描いてるの?」

「……え?」


振り返るつもりなどなかったのに、なぜかあたしは振り返ってた。


「誰のために描いてるの?」

「……?」

「絵を描くのは好き?」

「……それはもちろん好きです」

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