ゴースト ――あたしの中の、良からぬ……
それから、言われたとおりにパターを構えて、何も考えずにただコツンとボールに当てた。

ボールはまっすぐころころ転がって、吸い込まれるように穴にポトンと落ちた。


「お、入った」


(なんだ、思ったより簡単だった)


「おー、すごいね。一発で入った。すごいすごい!

ほんとに初めて?

ゴルフの素質あるんじゃないの。もう一回やってみてよ」


パチパチ拍手して褒めちぎられて。


(ほんと、あたし素質あるのかも)


あたしはいい気になって、もう一度ボールを置いてパターを構えた。


(まっすぐ打てば入るから。

さっき入ったんだから、同じようにやればいい。

絶対2発めも入れてやる)


生来の負けず嫌いがむくむくと顔を出す。

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