ゴースト ――あたしの中の、良からぬ……
(絶対、入れる――)


コツン。

2発めは、まっすぐ進みはしたものの、強さが足りずに、直前の坂を上がりきれず引き返してきた。


「あー、短い。届かなかった!

ちょっと力んじゃったかな?」


残念な声に。

何だか悔しくなって、あたしはまたボールを置いた。


「もう1回やってみる」


(今度こそ!)


それなのに。

何度やっても、最初の1回目に入ったきりで、あとは右にそれたり左にそれたり、力が足りなかったり強すぎたりで、ボールはなかなか穴に落ちようとしなかった。


(おかしいな)


焦れば焦るほどうまくいかない。

むしろ、1回目入ったことが奇跡のような気さえしてきた。

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