ゴースト ――あたしの中の、良からぬ……
「……だめ。これ、難しい」

「あれ、ギブアップ?」


ついに音を上げたあたしから、パターをひょいっと受け取って、ボールを拾い上げようとして。


「ああ、そうか、なるほどね!」


花粉症さんは急に何かを思いついたように手をポンと叩いた。

そして、あたしに向き直ると、明るい口調で突然言った。


「最初、何も意識せずに1発目を打ったでしょ?」

「……?」

「無意識に、穴に入る玉をイメージできて、体もコントロールできてたんだ。

人間は本来、目で見える情報を分析して、そのとおり体を動かす感覚が備わってるからね。

その感覚がちゃんと働いてた。

だから当たり前のように入った」

「ああ、はい」

「初めてだから入らなくて当たり前、と思ってただろうし、特に気負いもなかったしね。

だけど、2発目以降は、いろいろ頭で考えて意識しすぎてあちこち力が入って、その感覚が働かなくなった」

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