ゴースト ――あたしの中の、良からぬ……
「もう一度……さっきの一発目の玉を打った時の気持ちを思い出して……

あの秋の絵を描いた時の気持ちを思い出して……

何も頭で考えずに、心で感じて、絵を描いてみるといいよ。

楽しく、描きたいものを、のびのびと、ね。

そしたら、きっとまた君らしい、素晴らしい絵が描けるよ」


ゆっくりと納得するようにうなずいて。

メガネの奥の清らかで澄んだ目が、あたしをなぐさめるようなやさしい目でじっと見た。


(あ――)


そうだ。


急に気づく。



あたし、ずっと苦しかった。


苦しくて苦しくてたまらなかった。

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