あなたの”その”足元へ
冗談のような口調だが本気だ。

綺樹は視線を外して、くすりと口元を歪めた。


「わかってるよ。
 あなたの大事な子には、手を出さないよ。
 安心して」

「心配なのは、あなたもね」


ライナは腕を解いた。


「あなたは年の割りに、周りの環境は大人だわ。
 そう年の違わない他人を、”子供”と考えてしまうように。
 でも中身は小さな女の子。
 だから、その矛盾を理解してくれた男じゃないと、二人とも不幸よ。
 ただ、強烈ななにかに麻痺してしまった男が相手だと。
 互いにぼろぼろに傷ついていく」


綺樹はじっとライナを見つめていた。


「はい、買ってきた!」


涼の年相応の無邪気な大声に二人は視線を左右に外した。


「ありがと。
 そう、だ。
 涼、今日から少しの間、彼女、一緒に住むことになったから」


綺樹は少し首を傾げ、楽しげに微笑した。


「涼、よろしく」


そしてライナと視線をかわして、にやりと笑った。
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