あなたの”その”足元へ
2.涼 is
振動音の元は、見なくても分かっていた。

涼の携帯は始終、振るえている気がする。

電話であったり、メールであったり。

かけてくるのも、男女混合のようだ。

女の内、何人かとは寝てる。

綺樹はそう踏んでいた。

女たちが、他にもいることに、互いに気付いているのか、いないのか。

いがみ合い、取り合っている雰囲気は無い。

涼の様子を見ていると、どの電話にもメールにも淡々としている。

本命が別にいることを、了承済みの関係か。

まあ高校生ぐらいだと、一回り年上の大人の女には勝てないな。

特にライナが相手じゃ。

綺樹は煙草をくわえた。

だけど、やれやれ、まだ高校生だろう。

自分のことを棚に上げて呆れ、綺樹は火をつけた。


「いつも言っているけど。
 部屋禁煙」


シャワーから出ていた涼が、髪の毛を拭きながら、じろりとにらんだ。

ライナは根負けして、煙草をやめたらしい。

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