あなたの”その”足元へ
4.動き
翌朝は日曜日だったのがあって、涼は朝寝坊をした。

バイトはそんなに急ぎじゃない。

生あくびをしながらリビングに行くと、綺樹がテレビの前で仁王立ちをしていた。

今日は黒のパンツスーツ姿だ。

ダイヤモンドのテニスブレスレットをはめようとしている。

ニュースから、ちらりと視線を投げた。


「おはよう」


いつもと変わらぬ様子。


「ああ」


涼の方が狼狽する。

涼は綺樹から距離をとって、ダイニングテーブルに座ると新聞を広げた。


「昨日は」


綺樹の声に顔を上げる。

にやっと笑った。


「ありがとう」
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