あなたの”その”足元へ
攻めるか。


「はまった?」


思わずキャッチャーを落とした。


「はまった」


ぶっきらぼうに言いながら、キャッチャーを拾い、ケースの中にあったもう一つのピアスを手に取る。


「ほら、留めて」


キャッチャーの方を渡し、涼は反対側をはめる。


「サンクス」


綺樹がにっこり笑ってからケースの蓋を閉めた。

有名ブランドのロゴが入っていた。

ケースの中にはネックレスが残っていて、3点揃いのようだった。

詳しくない涼でも、それが普通の会社員では、とうてい買えない代物だというぐらいは、わかる。

一体、どういう仕事をしているのか。


「出かけるの?」

「うん」

「気をつけろよ」


涼の言葉に少し首をかしげて不思議そうな顔をした。


「日本は久しぶりなんだろう?
 治安はいいけど」


綺樹はにっこりと笑った。


「ありがとう」


こういう風に笑うと本当にかわいいのだが。
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