あなたの”その”足元へ
彼女は口端で少し笑った。

うつむいて、くつくつと笑いだすのに、ちょっとむっとする。

なんだか馬鹿にされた気がした。

涼は腹立ち紛れに、今度こそ足を進め部室に向った。

サッカー部に入ったのは、何か部活をやるということで、一番無難な気がしたからだ。

小さい頃からやっていたとか、好きだからとかでない。

一般に受けがいいから、それだけだった。

サッカーをやっている自分が、それなりに人気があるのは知っていた。

練習をしていると、他校の女子まで見に来ることもあった。

今や当たり前になっていて、仲間には時々からかわれるぐらいだった。


「おおっ」


それが今日は驚きの声をあげている。


「さすが涼だ」


先輩に肩を叩かれた。

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