あなたの”その”足元へ

「は?」


間抜けな声がでる。


「なんでもないわ」


洗面所に行くのを見送って、涼は時計の針に気が付き、慌しくトーストを口に押し込んだ。

制服と教科書を取りに、そっと部屋に入ると、アルコールの匂いが充満していた。

元凶はピクリとも動かない。

涼はあえて見ないように、努めていた。

物をかき集めて部屋の外に出ると、ほっと息をついた。

なぜ、自分がコソコソしなくちゃいけないのか。

なんで、あんな奴に気を遣うんだろうか。

涼はため息をついた。


「なんだ涼。
 今日はため息ばっかだな。
 もしかして恋わずらい?
 なわけないな~」
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