あなたの”その”足元へ
どんな関係かと聞かれれば、関係性というもの自体ない。

自分の感情の先行きのなさに、笑ってしまう。

綺樹はアメリカに帰る。

そうしたら、もう会うことは無いだろう。

何の接点も、共通性も無く、住む世界も、違う。

ライナという接点だって、昔からの知り合いだと言うのに、この年で初めて会ったのだから、弱いものだ。

つまり進めない、進まない、ジ・エンドだ。

笑っちゃうな。

半ば自棄めいて野菜を切り刻んでいると、“ただいま”と声をかけられた。

キッチンの入り口に、綺樹が立っていた。

涼はちらっと横目で見てから、“ああ”とそっけなく答えた。

昨晩、自分の仕出かしたことを思い出して、ぶっきらぼうになる。
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