あなたの”その”足元へ

「具合が悪いのか?」


降ってくる声に、目を少し開けると、涼が屈みこんでいた。


「薬飲むか?」


返事を待たないで持って来た。


「ん」


タブレットを差し出されるのを受け取る。

さっきと打って変わって優しい。

こういう差って、やなんだよな。

綺樹は続いて差し出されたコップを受けとって、薬を飲みくだした。


「ありがとう」

「顔が青いぞ」

「ん」


ちょっと笑顔を引っ込めて、表情を緩めた。


「なに?」


じいっと見つめてくるのに、涼はたじろいだ。

それを見て綺樹はただ笑った。


「なんでもない」


どさりとソファーに横たわり、瞼を落とした。


「良い・・」


男になるな。

綺樹は口には出さなかった。
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