あなたの”その”足元へ
「なにそれ」
USBのような形のものが2つ渡されていた。
液晶画面がついていて、数字とアルファベットが並んでいるが、意味にはなっていないようだ。
「パス」
綺樹はつまみ上げて、液晶画面に出ている文字と数字を打ち込んでいる。
「セキュリティーをかけているんだ。
1分ごとにパスは変わる。
このパソコンには色々詰まっているからね。
二つのパスを入れないと開かないんだ。
パソコン自体も1分操作しないとフリーズする。
ああ設定、めんどくさい。
どうせだったら、エンジニアも一緒に連れてこいよ」
まだ文句言っている。
「それだけ重要でも、パソコンを盗まれたら終わりじゃない?」
少し笑って言うと、鼻先で笑われた。
「蓋を開けたとたん、爆発するようになっている。
あたりまえだろ」
うわ、やっぱり可愛くない。
こんな奴を好だと思うのは、気の迷いだ。