あなたの”その”足元へ
考えてみれば、十分人生を謳歌しているような気がする。

レストランでの綺樹を思い出す。

思考を少々戻した。

普通の女子みたいに、日々を送ってもいいのでは?

そんなことを思いながら、ロビーを行きかう人々を眺める。

ふっと嫌な記憶が立ち上る。

あの時、こうやって長い間、人が行きかうのを眺めていた。

通りがかったライナが、不審に思って近くにあった警察署に連れて行ってくれた。

結局施設に行くこととなり、それを知ったライナが数ヵ月後に引き取ってくれた。

思い出したくないことを、警察という雰囲気で蘇らされる。

自分の顔が険しくなるのがわかっていた。
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