あなたの”その”足元へ
涼は自然に手が出て、額の熱をはかった。

確実に上がったようだ。

浴びるように酒を飲み、食物を口にせず、徹夜で仕事をしていれば、こうなって当然だ。


「ばかだよ」


けだるそうに瞼を上げた。


「なんでもない。
 少し眠った方がいい」


綺樹は素直に言葉に従う。

最後に、涼の呟きを遠くで聞いた気がした。

なんといったのか、聞きなおそうとしたが睡魔の方が強くて、そのまま引き込まれていった。
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