あなたの”その”足元へ
服が湿っている。

熱で汗をかいたのか。


「大丈夫か?」


また自分の膝の上に寝せる。


「寒いか?」


どんよりと曇った目で涼を見上げた。


「水、飲みたい」


涼は膝からそっと床に下ろすと、ドアを叩いた。

車内での様子から日本語は通じそうに無いので、英語で怒鳴る。

通じたらしく、カギを回す音がした。

一人の男が涼に銃を向け、もう一人が床に寝ている綺樹に、ペットボトルから水をかけた。

綺樹の髪の毛をわしづかみにして、顔を向かせる。

低く何語かで威嚇した。

綺樹が目を開いた。

焦点が怪しい。

簡素にI don’t noと答えると、男は突き飛ばすように綺樹を離し、その勢いで床に叩きつけられたような音がした。


「綺樹!」
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