あなたの”その”足元へ
闇の中でも、綺樹の目が有無をいわさぬのが見えた。

その気迫に涼は黙った。

どうサポートすればいいか考える方に、切り替える。

壁に身を貼り付けた綺樹は、呼吸を整えようとした。

神経を研いでドアの外に意識を集中する。


声が近い。

ノブが回っていく。

ドアの向こうから、懐中電灯の光が飛び込んできた。


綺樹は現れた銃を掴んだ。

ひねり上げて、投げ飛ばし構える。

引き金の指を引こうとした。


「Mis Ayana!」


相手の男が叫んだ。

知っている声。

アメリカでの自分のボディーガード。

綺樹は一気に息を吐いた。

銃を持っていた腕が落ちる。


「綺樹!」


今度は涼が叫んだ。

綺樹は倒れていた。
< 68 / 93 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop