あなたの”その”足元へ
涼は綺樹の手から紙を取り上げ、無造作にポケットに突っ込んだ。


「誤解の部分もあるけど、その考えは気に入った。
 おまえって、本当に妙に悟っているところあるな」

「ふん」


 綺樹は顔を正面に向けて肩をすくめた。


「ま、元気でな。
 見当を祈っているよ」

「ご丁寧に」


涼も不敵に笑って言い返すと病室を出た。

病院の外に出ると、急速に落ち込む。

一体何をやっているんだ。

腹をたててどうするんだ。

涼はポケットに突っ込んだ紙を広げた。

自分も仕事の対象に過ぎなかったのか。

結構、傷ついた。

手前勝手にすぎないが。


「ほんと、情けないな」


涼は呟いて、自嘲を浮かべた。
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