あなたの”その”足元へ
スポンジで洗っていた皿が滑って、流しの中に落ちた。

見事に真っ二つだ。


「やめときなさい。
 手におえないわよ」


ライナはテーブルについた。


「あの子、あの年で既に大学まで出ているのよ。
 その頭脳を買われて、今はアメリカの財閥、ダバリードの会長補佐をしている。
 更に、母親の方がスペイン貴族の血縁でね。
 家を継ぐように圧力がかかっている」


涼は二つに割れた皿を手にするとくっつけようとしてみた。


「無理よ」


確かに皿は諦めざる得ないようだ。


「おまえはあの子と釣り合わない」


ライナはそれだけ言うと、黙々と夕食を食べることを再開させた。
< 79 / 93 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop