あなたの”その”足元へ
「やったわよっ!」
ライナが駆け込んできたのに、綺樹がはっとして立ち上がった。
テレビをつける。
記者会見のようだった。
スーツ姿の男たちが頭を下げている。
ライナが手近の椅子に、力が抜けるように座り込み、放心した顔で画面を眺めている。
綺樹は涼を目で促した。
「海。
行こう」
玄関を出ると、綺樹は目を輝かせてそう言った。
「うみ・・。
青春映画」
「いーじゃないの。
波の音が聞きたいんだ。
今日みたいな日は、音の周波数が脳にいいんじゃないか?
後、マイナスイオンだ」
ばしりと涼の背中を叩いて、綺樹は先を歩きだした。