あなたの”その”足元へ
じっと見つめてから、口元に意味のとれない微笑を浮かべた。

風が。

綺樹の前髪をかき乱して、瞳を隠した。

細い神経質そうな指でかきあげてから、まぶたをすうっと上げた。

数秒の間、いたずらっぽい笑いに満ちた瞳で、見つめる。

淡い茶色の瞳。

心の中を見透かされるように、落ち着かない眼差し。

涼は、瞳が合うのが、出会ったとき以来だと、その時に気がついた。
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