あなたの”その”足元へ
顔を向けられていても、視線が向いていても、ずっと微妙に瞳は外れていたのだ。

綺樹が、自分が見つめることの効力を知っていて、ずっと外していた瞳。

気付かなかったその違和感が、ずっと涼をイラつかせ、渇望感を抱かせていた。

綺樹はまた背を向けて歩きだした。

涼はその後をゆっくりと付いて行く。

次の朝。

綺樹の姿はなかった。
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