あなたの”その”足元へ
   *
「高校の先生になるわ」


あれから幾つかの朝が過ぎた後、ライナはそう言った。


「あの人に会った高校の時。
 その時に触れていたいのよ。
 そして、私のように本当の相手を見付けられるように、見守るわ」


涼は目玉焼きの黄身を箸で突き刺した。

とろりと流れだす。

ライナを導く光は見つかったようだった。


「実家に行くの?」


涼は答えなかった。

ライナは自分の育て子を、じっと見つめた。

綺樹は自分の忠告を良く守り、いたずらに誘惑することはしなかった。

この結果はどうしようもない。

自分もそうだったから。
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