翼[短編]
さくら散る
3月。
俺は受験した大学すべてから不合格通知を受け取った。
かなりレベルの低い私大まで、見事に滑った。
情けない。と親父は怒鳴り散らし、お袋は泣いていた。
そんな両親を、俺は自分でも驚くほど冷たい瞳で見つめていた。
もともと、大学なんかに興味なかったのに、無理矢理受験させたくせに…。
俺の成績で入れる大学なんかあるわけないだろ。
そんな不満が俺の中で渦巻いていた。