翼[短編]
4月からの進路が白紙になった俺は、次の日、バイトを探しに街に出た。
あと一年頑張れ。と言う両親や担任の言葉を無視して。
その日は、雲一つない晴天で、夏の始まりの頃のような気温だった。
まだ冬物のジャケットを着てきた俺は汗だくで、中に着たシャツが気持ち悪いくらい湿っていた。
アルバイト情報誌を片手に何軒も面接を受けたけど、どこもダメだった。
さすがの俺も参ってきていた。
大学も含めて、なんど不合格を突きつけられたか…。
時間が経つに連れ、湿ったシャツがどんどん体に纏わりついてくる。
いくら剥がそうとしてもシャツは纏わりついてきて、いつまでも俺の中から離れない不満のようだった。