ポイズン
「月がキレイだったから」

「…そう」

月明かりは彼女の肌を青白く染めていた。

胸につけた赤い跡をのぞいては。

今までつきあってきた女に跡をつけたことはなかった。

けど彼女はつけなきゃ、いなくなってしまうような気がした。

俺の手からするりと蝶のように簡単に逃げてしまうような気がした。

「――あげは」

「ッ…」

彼女と唇を重ねた。

ベッドがすぐだから戻ればいいものを。

でも俺は、そのまま彼女と行為をした。
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