ポイズン
あげはの手が俺に向かって伸びてきた。

華奢なその指先が、俺の頬をそっとなでる。

離れようとする。

その前に、止めた。

「同時に、自分の不幸を呪った。

あなたは、あの人そのものだったから…」

「だから、抱かれたのか?

俺がじいさんによく似ていたから」

あげはの目が伏せる。

「好きだ」

あげはの目があがった。
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