泣き顔の白猫

何にします、と聞かれて、メニューを眺める。
少し迷ってから、加原は顔を上げた。

「っとー、じゃあ……カプチーノで」

そう言うと、名波は一瞬、目を見開く。
そして、小さく笑った。

その表情に、今度は加原が、目を丸くした。

「え?」
「あ、すいません。なんか、かわいいもの頼むなぁって」
「え……そんなに面白いかな」

きょとんとした顔で言う加原に、笑いが収まらなくなったようで、口許に手を添えた。

「俺、甘党なの」

言い訳がましく呟いたのがまた可笑しかったのか、小さく肩を揺らすその様子が、やけに可愛い。

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