泣き顔の白猫

そうしているうちに、やがて出てきたカップを見て、加原は思わず小さく感嘆の声を上げた。

きめの細かいフォームミルクに、ふわりと散らされたココアパウダー。
疲れた頭を、香りと見た目だけで癒せそうだ。

カップをゆっくりと口に運んで、加原ははぁ、とため息を吐いた。
それを見てマスターはにやりと笑い、名波は照れくさそうに少し俯く。

「おいしー……しあわせ」
「簡単ですねぇ、加原さんは」
「楽しみ上手と言ってよ」

冷めないうちに飲みきって、唇についたミルクの泡をぺろりと舐めてから、加原は改めて名波に向き直った。

「ほんと美味しかったー。名波ちゃん、天才」
「いえ、そんな」
「疲れたらまた来ますんで、甘党の加原、覚えといてね」

冗談めかして言うと、名波が控えめに笑う。

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