泣き顔の白猫
疑ったことを怒っているのでも、加原が真面目に話を聞かないことを怒っているのでも、なかった。
加原が、『ごめん』ばかり言うから。
信じると言ったのに、ごめんなんて。
まるで、『疑ってごめん』ではなくて、『信じるなんて言ってごめん』と言っているように聞こえる。
「……名波、ちゃん」
「……なんですか」
「名波ちゃんのカプチーノが飲みたいな」
「だから、!」
もどかしげに眉を歪めて、名波は加原の横顔を見上げる。
しかし、相変わらず背けていると思っていた顔は、まっすぐと名波に向いていた。
「謝るのはこれで最後にする。ごめんなんて言って、ごめん」