泣き顔の白猫
写真は語る
「塚本晃一、山田慎二、川尻健太、鈴木学」
安本が小さく呟いているのは、“連続不審死及び殺人事件”から“連続殺人”へと名を変えた一連の事件の、被害者の名前だ。
もうこの館町市立商業高等学校に勤めて八年になるという校長は、心配そうな面持ちで二人の横に立っている。
人間関係を知るのに、写真ほどわかりやすいものはない。
仲の良い者同士ならまず間違いなく一緒に写っているし、集合写真でも並びが自由なものならば、相関図にさえなると言っていい。
決まって同じメンバーで、同じ人を中心に写っていれば、力関係が強く結束の固いグループ。
どの写真も一人で、笑顔もぎこちなく写っている人がいれば、内向的で団体行動が苦手で、だが写真を断るほど我も強くない、クラスに一人は必ずいるようなタイプ。
同じように一人でも、写真によって違う面々と笑顔で写っているなら、世渡り上手で要領の良い人間、という具合だ。
加原は、出してもらった五年前の卒業アルバムや行事写真を見比べながら、言った。
「この四人は、どれも同じメンバーと写ってますね」
「えぇ、鈴木くんたちはいつも五、六人で一緒にいて……クラスのムードメーカー的なグループ、でした」
丸い額に浮かんだ汗に頻りに拭いながら、校長が言う。
その言い方がどこか引っ掛かって、加原は眉を潜めた。