遠い記憶
それから何時間経ったのだろう。
不安にかられながら祈っていると、手術中のランプが消え、中から医者の人が出てきた。
「直哉は…!?
直哉は無事なんですか!?」
私たち三人、同じ事を口にした。
「最善を尽くしましたが…」
…そ…んな。
「……5時21分。ご臨終です。」
「いやあああああ!!」
お父さんもお母さんも泣いていた。
私は泣きながら崩れ落ちた。
「嘘だよね…直哉…
だって!一緒に卒業しようなって!
ずっと一緒にいようなって言ってくれたじゃない!」
どうして…っ!
どうして…っ!
「直哉を…っ!
直哉を返して!!!」
「美鈴ちゃん…」
直哉のお母さんは、泣きながら私をぎゅっと抱きしめてくれた。
その温もりは直哉に似ていて…
私の涙は止めどなく…流れ落ちた。