遠い記憶
それからしばらくして、私は直哉のお母さんから一通の手紙をもらった。
直哉が卒業式に私に渡すはずだった手紙らしい。
私は自分の部屋でその手紙を読んだ。
「美鈴へ
出会ってからまだ1年も経ってないけれど、俺の彼女としていつも一緒にいてくれてありがとな。
今日で卒業だけど、同じ高校通えるし、一緒に登下校しような!
…これからなにが待ってようと俺は美鈴を守るし、美鈴以外の女なんて考えられねぇから。
美鈴のこと、愛してるから。
だから、ずっと…大きくなっても一緒にいような!
直哉より」
…直哉…
直哉らしさを感じる手紙に私は泣いた。
…私も、直哉と一緒にいたかった。
叶わなかったけれど、なにを思ったって帰って来ないってわかってるけれど…
「私も、なにがあっても直哉が好き。」
…それに同じ思いをするくらいならもう恋はしない。
それが一番いい。
私はこのとき、決意した。
“もう恋はしない”と。