遠い記憶
「…直哉…ごめんね。
そしてありがとう。」
直哉は私に大事なことを思い出させてくれた。
『お前の幸せは俺の幸せだから。
それに…美鈴の運命の人は、すぐそばにいるかも知れない。』
ボソッと呟いた声を私は聞き逃さなかった。
“運命の人は、すぐそばにいるかも知れない”
その言葉に思い浮かんだ顔は1人だけだった。
「それって…」
…中野くん?
そう訊ねようとした瞬間、あたりがより真っ白になり、私の意識は遠のいていった──…