遠い記憶


「…偶然だな。」


「…そうだね。」


「俺の家、この辺なんだ。」


「私も。」


驚いた。
中野くんはこの辺に住んでいた。
でも……


「同じ中学じゃないのになんで?」


ここまで家が近いのなら、同じ中学なはずだ。
なのに…どうして同じ中学じゃないのだろうか…


「俺、引っ越してきたから。
…確か3年前の3月9日───」


3月9日……


私は耳を疑った。
直哉が殺された日に中野くんは引っ越してきた……


そんな偶然あるのだろうか…


私は歩く足を止め、その場で固まってしまった……

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