遠い記憶
ずっと前から
「山田?」
私の様子を見て心配そうに顔を覗き込む中野くん。
私はそんな彼の様子を見てはっと我に返った。
「ご、ごめん。
ちょっとビックリしちゃって……」
「ねぇ、山田。」
急にいつもより低いトーンで話され思わず驚いて顔を上げた。
「……河合直哉って知ってる?」
────時が止まったかと思った。
なんで中野くんが直哉を知っているのか。
だって知るはずがないのだ。
中野くんは直哉が殺された日に引っ越してきたのだから…
なのに、何で………。