遠い記憶
「山田が入学式の日に哀しそうな瞳をしてた。その理由が。」
……入学式?
私は入学式の時中野くんのことを知らない。なのにどうして中野くんは私のことを知っているのか。
それが疑問だった。
私の様子を察した中野くんは言葉を続けた。
「……入学式の日、偶然山田を見たんだ。
山田は、すごく哀しそうな瞳をしていた。そんな山田から目が離せなかったんだ。」
「気づいたら、惚れてた。」
中野くんの口からとんでもない一言が飛び出し、私は思わず驚いて彼の顔を凝視してしまった。