遠い記憶
「……大丈夫?」
同い年ぐらいの男の子が心配そうに私を見つめている。
「……あの……」
「んだよ、お前…っ!
やんのか?ああっ!?」
ナンパ男は起きあがると助けてくれた男の子に殴りかかろうとした。
助けてくれた男の子はナンパ男の拳を受け止めるとそのまま捻りあげた。
「いてぇ………っ」
「彼女、イヤがってんだろ?
このまま警察に突き出されたいのか?」
“警察”
という言葉を聞いた瞬間、男は腕を振り払い、そのまま逃げていった。
……怖かった。
この人が助けてくれなかったら今頃どうなっていたか。
考えるだけでも震えてしまう。
「大丈夫?…じゃなさそうだよね。」
…男の子は私の顔を見て察してくれた。
不安そうな顔がふと、直哉と重なった──