遠い記憶


「…大丈夫…助けてくれてありがとう。」


…この制服。
怖くて気づかなかった。
彼は私と同じ学校の制服を着ていた。


「…同じ学校?」


「そうみたいだね。
俺、三年なんだ。」


…学年も一緒…


「私も三年生。」


「そうなんだ!
じゃあ実は学校であってたりしてね。」


「そうだね。」


優しい彼の笑顔。
怖かった気持ちも少しずつ安らいでいった。


「あ、自己紹介するね。
私、山田美鈴。
今日は助けてくれてありがとう。」


「山田って言うんだ。
俺の名前は中野直也。」


……なお…や?


助けてくれた男の子の口から出た名前は……直哉と同じだった──……
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