それでも大好きなんです
「優樹先輩…」
俺の顔を覗き込んでくるマネージャー。
「ありがとう、もう帰れ」
「先輩。私が慰めてあげましょうか?」
そう言って俺に触ってくる。
「やめろ!早く帰れよ!」
俺はマネージャーに怒鳴った。
マネージャーは渋々出ていった。
俺は椅子に座り泣いた。
別れたくなかった。
拓哉には渡したくない。
でも俺には夏希ちゃんを幸せにできない。
夏希ちゃんの中にいる拓哉には、俺は一生勝てない。
「夏希ちゃん、好きだ」
か細く言った言葉は虚しく教室に響いた。