それでも大好きなんです
俺は携帯を開いて拓哉に電話をかけた。
「…もしもし」
相変わらずダルそうな声。
「俺、夏希ちゃんと別れた…」
「はぁ?」
「もしかしたら夏希ちゃん泣いてるかもしれないから、拓哉行ってあげてよ」
「…お前が行けば?」
「戻って夏希ちゃんを抱き締めて、好きだって言ってやりたい。でも今の俺じゃダメだから…」
「……」
「まだ教室にいると思うから行ってあげて」
俺はそう言うと電話を切った。
「お人好しだね」
「ちげーよ。今すぐにでも夏希ちゃんのとこに戻って抱き締めてあげたい。やっぱり別れたくないって言いたい」