恋の破片
寒さを感じて目を覚ますと
春の姿はどこにも見えない。
急に不安になる。
急いでベッドから飛び出した。
リビングのドアを開けると
ソファーでコーヒーを飲んでいた。
勢いよくドアを開けた私。
「どうした?」
のんびりとした、春の姿に安心した。
「ううん、おはよ」
「おいで」
ぽんぽんと自分の隣を叩いている。
ソファーに座ると
満足そうに少し微笑んでいた。
何がしたいのか分からないけど
前に春が言っていたことを思い出した。
ーー結衣が、隣にいるだけで充分
春にとって、私が特別な存在なのは
とっても嬉しい。
ずっと一緒にいられなくても
そう思ってくれてるだけで幸せだよ。
ふたりだけの
優雅な時間が過ぎていった。