恋の破片
風が強くなり
真白の季節が近づいていた。
「ねぇ、この季節に外は…」
私たちは近くの公園に来ていた。
くたびれた黄色のベンチ。
「このベンチ、好き」
春は、じっと私を見つめる。
オフの日は、
本を読むのが、春のお気に入り。
でも、私はどうしても寒くて
春の部屋に戻ろうとした。
「結衣、どこいくの?」
腕を強く掴んで、離さない。
「部屋、戻る」
「もうちょっと待って」
そう言った春さんは
私を後ろからぎゅっと抱きしめながら
またベンチに座った。
すると、そのまま本を読み始めた。