恋の破片
月光
食器をすべて片付けると
春の座る、ソファーに向かう。
「ここ」
ぽんぽんと隣を叩きながら
春が呼んでいる。
春の隣に腰掛ける、私。
「結衣が、隣にいるだけでいい」
春の口癖。
春は、雑誌を読んだりしてて。
私は、ちょっと眠くて。
遠くにある夕日に見惚れながら
その窓から差し込む、
冬の西日に浸っていった。
また、寝てしまった。
窓から差し込む西日は
とっくに月光に変わっていた。
隣に春の姿はなくて
キョロキョロとリビングを見回す。
そこにも春の姿はない。
この家のリビングには時計がない。
とりあえず、時間を確認しようと思って
カバンの中の携帯を探す。
右上には、19:22と表示。